demonsystem 0-7
手応えゼロ。なのに魔物は消えた。
エイセの剣が当たるか当たらないかのタイミングで消えた。
おかしい、魔物が異世界の住人だからと言っても幻影ではない。手応えがなく消えるなんてことはありえないのだ。
でも、まぁ、いなくなったんだからいいか。
エイセは結局そう思い直し、女の方を見た。女はエイセと距離を取ったまま。明らかに警戒しているっぽい。
……。
でも、ま、ほら。魔物は消えたし結果オーライ結果オーライ。エイセはようやっと用意していたセリフを女に向かって言った。
「大丈夫だったか?」
女に感謝されて、一緒に街まで(略)ウハウハだ計画の二歩目を踏み出そうとしたエイセだったが、
「まだ危険じゃないかしら?」
呆れたような顔をして女はそう返した。……あれ?
女は続けて言った。
「まだ、狼が一匹いるもの。それも、おそらく“未経験の”」
「そうか?」
言われて、エイセは辺りをキョロキョロと見回した。周りにはそんな気配は無い……と思う。
「あー、ごめん。“バカ”もつくみたいね」
呆れを通り越し、苦笑交じりの顔になって女は言葉を続けた。今度は解るようにエイセのことをじっと見ながら。
「?」
エイセ、まだ解らない。
「そこまでいくと、ある意味素敵ね。……いいわよ。何から聞きたい?私をどうしたい?“初心者”ナンパ師さん」
ここまで言われれば解るだろうと思ったがエイセの思考は「素敵ね」の一言で止まってしまったらしい。エイセは出来る限りの格好つけで女に言った。
「こんなところに君みたいな……」
「シズカよ」
言葉の腰を折るように、シズカは自分の名前を教えた。
「あー、シズカ」
「何かしら?」
「とにかく、こんなところに女性が一人でいるのは危ないだろ?だから、俺が安全な所まで……」
「どこまで行けば安全か解ってるの?」
「ま、街……」
「このへんに大きな街なんて無いわよ?」
「……」
「あっきれた……」
シズカは苦笑する。
「カッコつけるんだったら、もうちょっと準備しておくのね。どーせ、私が盗賊とやり合ってるの見つけて、恩でも売って街まで送らせて、ついでに食べちゃおうなんて思ったんだろうけど」
あまりに図星でエイセは何も言葉を返せなかった。

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